はじめに
多くの人は、ゴルフを始めたころには、コースに出るだけでも愉しかったはずですが、いろんなコンペに出るに従って、経験を積むに従って、他人より良いスコアで回りたい「他人に認めてもらいたい」という心境が現れてきます。これは人間にとってごく普通の欲求、向上心であると共に、もっと上手くなりたいという欲が次から次と段階ごとに湧いてきます。そして決してこれで良いと心を満たすことはありません。
ここに来る生徒さんを見ると、上手くいかなくて壁に当たっている人やこれからゴルフを始めようとする人が大半です。しかし、年齢も性別も身体能力もゴルフする環境すらバラバラなので、同じドリルをやっても上手くできる人、できない人、即座にできる人、時間がかかる人と千差万別です。
初めに生徒さんに「上達とは何か」とお話します。上達とは、A地点からB地点に移動した事「変化」を表します。
このB地点が目標と言っても良いでしょう。ほとんどの方はこのB地点、目標をめざして練習をするのですがA地点がわからないことには、B地点までの道がわかりません。やみくもに練習をしても下手を固めるだけです。
そこで、A地点とは何かということになります。そのA地点とは、実は今の自分がいる場所で、場所と言うのは自分自身の今の状態に他なりません。今の自分を正しく知らないと、どの方向に努力、練習したらよいかわからないからです。
実は、この自分を知ると言う事がとても厄介で、自分の長所、欠点を客観的に認識しないといけません。それは、ゴルフのスキルだけでなく、性格であったり、考え方であったり、ゴルフ環境であったりします。
ジュニアや学生ならそれらの修正は安易に図れます。なぜなら可塑性的な柔軟な思考ができ、素直に人の話を聞くことができ、身体能力もトレーニングで伸ばすことができるからです。また、B地点までの道が「高速道路」に乗ることができ、途中でインターを降りなければ最速で目的地まで到達できるからです。
一方、一般的な社会人の大人はなかなか高速道路に乗ることができません。仕事や家庭を持ち、ゴルフだけをやっている時間がとれないからです。身体能力もジュニアの様なスポーツカーではなく、あちこち修理を必要とするファミリーカーになります。当然目的地までは一般道で、あの場所、この場所と寄り道をしながら目的地を目指す事になります。
そして、すでに学ぶという事をやめた中高年の方は、それまで培ってきた長年の人生観、価値観、思考パターンが確立されているので、柔軟な考え方をするのが難しいです。
柔軟な考え方と言うのは、素直な吸収力と言っても良いでしょう。
つまり、素直な吸収力を持ち合わせた柔軟性のある人は、状況の変化、時代の変化、取り巻く環境の変化に効果的に対応でき、学ぶ姿勢が強く、いろんなものをどんどん吸収して、自分をより創造的に形成できるのです。ですので、学ぶと言う事は死ぬまで続く大事なことのような気がします。
このように、いろんな生徒さんと接してみて、何が上達を妨げているのか、何で上手くいかないのか考えると、その生徒さんの内面まで入り込まないとわかりません。そうすると人間をより深いところで理解しないといけないと思うのです。
ここでのレッスンでは、正しい原理原則を理解し、人間の内面、真理、特に自分自身を見つめ、思考を変化してほしいと思っています。思考が変われば、行動が変わり、行動が変われば習慣が変わり、習慣が変われば人格が変わり、人格が変われば人生が変わります。また、いろんな情報を選択し咀嚼できる能力を身につけ、正しいベクトル(方向性)で効率的に上達してほしいと思っています。